まどじゅのめそめそ〜ニューヨーク日記

2013月10月 New York で Sting のコンサート をご覧になったまどじゅさんのリポートです。

2013年10月

今回の旅は1週間の間にいろいろなことがあって頭の中を整理するのがせいいっぱい。特にパブリックシアターでのコンサートはどうやったらみなさんに臨場感あふれるお話をすればよいのか、悪い頭を悩ませるところですが、がんばります!

9月25日

JFK到着。いつものように私のお友達の待つグランドセントラル駅にあるマイケルジョーダンレストランへ向かう。学生時代のお友達のAちゃん、AちゃんのだんなさんのR,そしてカナダ時代のお友達Yちゃんに迎えられ、おいしいラムを食べてからブルックリンにあるAちゃんちへ。

9月26日

朝Aちゃんとブルックリンを散歩。マンハッタンの摩天楼が見えるブルックリン橋のふもとを歩き、おいしいコーヒーとクロワッサンの朝食。とってもいいお天気であったかい!
夕方からジャージーシティにある私が働いている会社のオフィスに遊びに行く。長年お世話になった私の上司がやめるので、最後のごあいさつ。でも途中でぬける。なぜかというと、ヤンキースタジアムへ行くから。

今日はシーズン最後のヤンキースタジアムでの試合。優勝レースから遠ざかってしまいプレイオフにも出場できないことが確定している試合だけど、チケットは完売。なぜかというと、伝説のクローザー、メジャーリーグの最後の背番号42番、マリアノ・リベラの最後のホームゲームだから。

8回2アウトでリベラ登場。すごい歓声。最後まで投げるかと思ったけど、9回2アウトで、ジーターとこれまた今季限りで引退のアンディ・ペティットが、監督のかわりにマウンドへ向かい、ピッチャー交代を告げる。リベラが泣いて、スタジアム中みんな泣いている。試合終了後、彼はマウンドの土をもちかえり、みんなの歓声と涙に見送られながら、ベンチ奥にみえなくなりました。この貴重な球史にのこる瞬間に居合わせたことを感謝します。

帰りはAちゃんとRとカラオケ。やけくそでStingを歌いまくる。うそです。すごい楽しみました。

9月27日

すみません、これはStingのレポートだけど、まだまだStingまで辿りつきません。この日は午後からホワイトチェスターに住んでいる、もと同僚のSちゃんとJさんご夫妻のおうちにおとまり。おいしいピザを食べて飲んだくれて、楽しかったあー

9月28日

この日はAちゃんとRと、ブルックリンに住んでいる上司とブルックリンのベイリッジでごはん。私の上司がロシア系なので、海沿いのすてきなロシアレストランで食事したけど、私の上司デザート頼みすぎだし。

9月29日

ごめんね、Stingまだまだですね。でもちょっと近づきます。私の長年のエンジェル、Santi君がロスから到着。でも今日はStingじゃなく野球観戦です。本日はメッツの本拠地、クイーンズにあるシティフィールドでこれまたメッツのシーズン最後の試合観戦。そして野茂の女房役として日本でも有名だった、マイク・ピアザの殿堂入りセレモニーが試合前にありました。今日の席、ヤンキースの席とほぼ同じ位置ですが、値段はヤンキースの12分の1。でもリラックスしてみていられました。

この時点でSanti君から、明日のデビット・レターマン・ショーの番組収録のチケットを、私の分も一緒にとってくれたことが判明。すごーい!!ゲストはもちろんSting!!ありがとうSanti君! 

9月30日 David Letterman Show

デビット・レターマン・ショーは現地夜11時半からの放送だけど、収録は午後4時くらいから。2時までにスタジオ前に集合するように言われていたので、Santiくんと待ち合わせ場所にとことこ急ぐ。そこへ向こうからにこにこした女の子が私たちの顔を覗き込みながら近づいてくる。あ、Sueちゃん!!そしてはぐはぐ。香港以来10か月ぶりの再会!通りの角にあたるところに、バンドのメンバーがたむろしている。あ、ドミニクがでてきた、あ、たばこを吸い始めた。そこへJoe Lawryちゃんがとことこ歩いて横を通り過ぎて行った。一人で会場入り。私たちが中で受け付けをすまし整理券をもらって戻ってくると、外にいたSueちゃんが、今Stingがとことこ歩いて入っていったよって。ちぇっ見逃したか!! Stingはここから、5ブロックぐらいしか離れてないところに住んでいるので、まるでふつーに通勤しているように歩いてきた。すごーいリラックスしてたよってSueちゃんが言ってた。



おおいに盛り上がって、ヒューって口笛ふくのはいいけど、げほげほげほって、せき込む音はださないでねって言われながらスタジオ入り。私たちの席は前から10列目くらいのど真ん中。いい席と言いたいところだけど、目の前に大きなセンターカメラが陣取っていて、センターに立つレターマンは見えなさそう。でも左側にショーのバンドがいて、バックグラウンドはいつもテレビで見慣れたマンハッタンの夜景、そしてステージ右側にソファーがあって、ゲストとレターマンがトークをするところ。Stingたちのステージは番組バンドの右あたりかな?

レターマンが出てくる前に、別のコメディアンのおじさんがでてきて、そのあと番組おかかえのポール・シェーファー バンドが紹介されながらでてきた!テレビで見ると、ただCMの前後にちょっとプレイして、レターマンのジョークに効果音をだすだけにみえるけど、みんな熟練したアーティスト、ショーの前にSynchronicity IIを演奏してくれました。

やっとホストのデビット・レターマン登場。おきまりの時事ジョークをかまして、今回は特にアメリカの政府が予算政策の不一致で一時閉鎖されたこと、ヤンキースをはじめニューヨークが本拠地のスポーツチームの成績がふるわなかったこと、オバマ大統領とイラン政府の会話の話で盛り上がってました。早くStingぅ〜〜〜〜

まず初めのゲストはWill & Graceという番組でおなじみのショーン・ヘイズ。2階席から大きなエアマットの上に飛び降り登場。まさかStingは同じことしないよね〜〜〜。
彼の話もとてもおもしろかった。まあ半分ぐらいしか理解できなかったけど。

番組バンドがShe's Too Good For Me をCM中に歌って私たちをよろこばせてくれたあと、ついにSting登場!白い穴ぼこだらけのTシャツにジーンズ、薄茶のブーツで登場!Stingも決して背は低くはないけれど、レターマンさんが超背が高いからとても小さく見える。レターマンが「あのね、これリハーサルじゃないんだけど。」Stingは「は?」ポールが「君のTシャツのこと」Stingが「だってこれしかもってないだもん。」話は彼の子供時代の話から。Wallsendという造船業がさかんな小さな町の話、(これは後でライブの時の話をするときに話します、そっちの話の方がくわしいから)カナダに移住したおじさんが残してくれっていったギターが自分の親友になったこと、10歳くらい上のビートルズが、自分と同じように小さな町からでて、すべての世代の子供に影響を与えて勇気を与えてくれたことに感謝していること、小さな村から出て、将来の安心や名誉を得るために、一生懸命勉強して奨学金をもらっていい学校に入れたことなどを話してました。そしてどうやってこのLast Shipのプロジェクトが始まったか、この8年ほど作曲家としてのスランプに入って、あまり書かなかったこと、そして子供時代の自分の住んでいた町のことを客観的にかいてみようと思ったら、どんどんアイデアがわいてきたこと、来年ブロードウェイのミュージカルを実現させるべく、今も曲を書いていることをなども。短い5分くらいのインタビューでしたが、内容の濃いものでした。

そしてCMの後はライブ!番組バンドの右側の空間の、マンハッタンの夜景パネルが外されて、後ろからどやどやStingのローディーたちがでてきて、裏にコンパクトにおさめられてた楽器や足台をだしてきて、ステージ作りをはじめました。日本でituneから予約してあったこのアルバムがダウンロードできるようになったのは、旅行出発前日の夜11時、ipodにダウンロードして持ってこれたけど、まだ聞きこなせていないけど、もう聞いた瞬間から大好きになったこのアルバム。その中でも特に威勢のいいにぎやかな曲があるのだけど、一番好きじゃない曲。でも演奏したのはこれでした。でも実際にライブで聞くとすごく気に入っちゃうから不思議。いつものドミニク、ジョー、ピーターはじめ、数人のメンバーの他にフランケンシュタインみたいな背の高いおじさん(失礼―Jimmy Nailさんです)が、そしておなじくらい大きないろんな髪型の5人のおじさんたち(The Wilson Brothersという)が後ろにところ狭しといてとてもにぎやかです。

興奮の時間があっという間に過ぎてしまいました。私たちは急いで外へでて、なんとかStingがでるところをみようとしたのだけど、裏口にいた、大きな高価なカメラをもったパパラッチが、「スティングもう帰っちゃったよ」と帰るところの動画を見せてくれた。そのあとジョーちゃんとヴィオリンのキャサリンが二人でぺちゃぺちゃしながら帰って行った。そのあとドミニクたちも大きなおじさんたちと一緒にバンに乗りこみ行っちゃった。

とゆーことで私たちは私のニューヨークの友達が今夜一堂にあつまる中華料理やさんへ行ってみんなと会食。私にはすごく親しい日本人の友人がニューヨークに4人もいるのに、今回は思うようにみんなに会えないから、みんなでいっぺんに会うのです。Aちゃん&だんなさんのR、Yちゃん、Mちゃん、Sちゃん&娘のNちゃん、明日から二日間はStingのコンサートで、世界中から集まるSting Fanと遊ぶから、ブルックリンのA&Rの家を出て、ミートパッキングエリアにあるホテルに泊まります。だからみんなと会えるのは今夜がほぼ最後。ごはんはおいしかったけど、右手の甲をなぞの昆虫にかまれたようで、ふくれちゃってかゆい!明日Stingと握手するかもしれない大事な手だというのにどうしたこと!!

10月1日 Public Theater

お昼頃Aちゃんが私をホテルまで車で送って行ってくれました。まだチェックインができなかったので、スーツケースをおいてSantiくんとお昼の待ち合わせ。Momofukuという謎のラーメン屋へ連れていかれました。ここでラーメンとビール2杯。

このあと4時から、コンサートのあるパブリックシアターのそばのLure FisherというレストランでTommieが主催のライブ前ディナーが行われます。私は日本へのお土産を買いにPatricia Fieldへ行ってからホテルへ戻り、シャワーを浴びて着替えをする。本当は今夜の為にサロンへ行ってヘアセットとメークアップをしてもらおうと思ってたのだけど、全然そんな暇なし。ホテルの素敵なルーフトップバーで一杯ジントニックをひっかける。3杯目。私たちは大幅に遅れて5時過ぎにレストラン入り。みんなまだ食事をしていなかったけど私たちも遅いランチだったのであまりおなかすいてない。企画をしてくださったTommieに挨拶をして、名札をもらって、Stingに渡すバースデーカードにサインして、席に着く。みんなにごあいさつ。

  この中には知っている人はいない。知っている人たちはもうドリンクだけで帰ってしまったみたい。コンサートは8時から始まるのだけど、私はミート&グリートがあるので、6時45分までに会場入りしなければならないので、時計をちらちら。サラダとタラのグリルと一緒に、白ワインを頼む。4杯目。みんなで歓談してるとだんだん時間が刻一刻と近づいてきて、どんどんドキドキする。今まで考えないようにしてたけど、考えれば考えるほど、こんな食事している場合じゃなくて、お化粧を(してないけど)直して、髪の毛を直して、静かなところで精神を落ち着けて、時が来るのを待つべきじゃないか。あー食欲がうせてきた。まどじゅとしたことがどうしたことか!!!あ、何聞くんだっけ、何話すんだっけ。もう行かないと。遅刻してすべてがぱあになったらまどじゅ死んじゃう。あまりの緊張にSantiくんの飲んでたマティーニをぐびっと飲んじゃう。5杯目。

こーゆーときに限って、地図のあるガイドブックを忘れる。ここからパブリックシアターまでは4、5ブロック。タクシーもつかまりにくいだろうし、タクシーで行くような距離じゃない。Santi君の携帯を借りて、GPSを頼りに早歩きで汗だくでシアターにたどりつく。6時44分!!セーフ!でもまどじゅふらふら。受付で名前を告げて、パスポートを出して、ミート&グリートの場所の2階に案内される。10人くらいの人たちがお酒を片手に歓談している。ポーランドから来ているAndyという人と、Lure FisherにもいたSting.ComのSurpataことJoshと私も歓談。Joshはきちんと余裕をもってレストランを後にしていた。みんなとても落ち着いている、なんで???シアターの人に飲み物を進められて、また白ワイン。6杯目。こうやってレポートを書いていて、こんなに飲んでることに気付いた。おそろしい!

そうこうしているうちに、裏のウェイティングルームに案内される。細い通路のようなところで、壁一面に船の絵がたくさん飾られている。シアターの人がでてきて、今回の寄付へのお礼と、このプロジェクトの説明、そして絵の説明をしてくれてる。あまり耳に入ってこないけど。今回はプロのカメラマンが撮影してくださるので、個人撮影は一切禁止とのこと。ちぇっ。絵はLast Shipの音符が部分部分にあしらわれていてとても素敵。



絵にみとれていると、「ハロッ」っとStingが登場。おーまいがー!!!ここに、ここにStingがいる!!あーどーしよどーしよ。みんな列に並んで写真撮影開始。彼はテロンとした生地の長袖のうすいブラウスを第三ボタンまであけて、白いジーンズ、白いブーツのいで立ち。Stingの近くに立っていたまどじゅは、3番目くらいにまわってきそうだったけど、長いことみていたかったので、AndyやJoshたちの方へ離れる。Joshたちと話しながらStingを見ているととたんに涙があふれてきて、Joshやシアターの人たちが「写真とるんだから泣いちゃだめだ!はい、息を吸って、吐いて、ぶりーず、ぶりーず!!」とくりかえす。まるでラマーズ法。この時点でも汗だくだったので、フェイスタオルをにぎりしめててよかった。あふれてとまらない涙!どーしようどーしよう。みんなひとりひとり、または2、3人で、落ち着いて素敵な笑顔で、絵の前でStingと写真を撮っている。一生懸命ダイエットして、出発前に髪の毛も切って、爪もきれいにジェルネイルして、まつげのエクステもして、最高のまどじゅで写真にうつるようにがんばったのに、汗だくで、顔はぐしょぐしょで、髪の毛はぼさぼさになっちゃったよー。そしてとうとう私の番がまわってきた!また涙があふれる。と、その場に立ち尽くす私に、Stingが両手で迎えにきてくれる。両手でだきしめてくれてから、一瞬Stingの香りがした。そしてポーズ、私は「あ、ちょっと待って待って、こんな顔じゃだめ」と涙をぬぐう。そのあとは。。。。

断片しかおぼえていない。Stingのぬくもりも何も覚えていない。何を話したのか、何も話さなかったのかも。。。このあいだStingの顔を見上げたことを覚えているのは一回だけ「日本にはいつ来るのですか?Back To Bass Tourの時は来なかったから。。。」でもそれに対するStingの答えをまったく覚えていない。もしかしたら答えなかったのかもしれない。そしてこの問題の写真。一番ましにとれてる写真。 写真をみてはじめて私がStingの体に手をまわしていたことを知る。涙でぐじゅぐじゅのフェイスタオルをおしつけたまま。。。 



これとは別に、9枚とってもらった中の1枚だけStingが馬鹿笑いしている。なぜかはわからない。何か失礼なこと言ってないことを祈ります。最後にお礼を言ったのかどうかもわからない。シアターの若い女の子に見送られ、気が付けばおみやげの手提げ袋をもらって、食事をしていたみんなが待ってるところに戻ると、またどっと涙がでてきたことだけ。きっと私は汗臭くて酒臭かったにちがいない。そしてうながされてまたジントニック。7杯目。もう飲みすぎだから。ぞくぞくとロビーに知った顔が。Sueちゃん以外はみんな5年前のニューヨークでのポリスのライブ以来。いつものAndyも来た。5年前アポロシアターでのエルビス・コステロのショーで隣り同士だったKimとだんなさんもいる。チケットをもっていなかったMikeと婚約者のDenisは今日のフリーチケットがあたった。やったね!たくさんの人になつかしの再会、新しい友人たちにもごあいさつ。覚えきれない。

そしていよいよコンサートが始まります。パブリックシアターの一部のAsnspacher Theaterはとっても小さい。ステージは畳14畳くらい。中央に椅子とマイクがあって、前中央にもマイクスタンドがある。いつものブルーのエスニックなテーブルはない。そのかわりに木の箱をさかさにした台だけ。ステージの後ろにはスクリーンが3枚天井からつるしてある。客席は後ろへ行くほど急激に高くなっているので、ステージは口の広い四方形の底みたい。私の席は最前列の右から2席め。といっても最前列は8列だけ。前方のマイクは私から2メートル離れてるだけ。きゃー!!!全部で200席くらいしかないとても小さなシアター。

シアター全体が暗くなり、まず男の人が一人現れてごあいさつ。そしてバンドのメンバーが狭いステージに入ってきた。ドミニクも入ってきた。「ドミニクっ」 といつものように叫ぶ勇気なし。だってあまりにも近すぎるし静かなんだもん。いつものメンバーに加えて、見た目はむさくるしいけど、美しい歌声のウィルソンブラザーズ、バイオリニスト、キャサリンもみえます。最後にStingが入ってくる。さっき会った時と違う服、レターマンショーの時と同じTシャツ、でも同じ白いコットンパンツ、そして茶色いブーツ。

一曲目はアルバムの最初のThe Last Ship。バックスクリーンには、大きな船がとまった町の、白黒の写真がうつってる。もうこれで一気に50年前のWallsendの町にみんながタイムトリップしてしまうのだから不思議。今までのような大きなライブ会場じゃなくて、ここだからもっと雰囲気がでる。懐かしい、さみしい、かなしい、せつない、でもあたたかい、ノスタルジックな気分に一気に包み込まれる。Stingは私の2メートル前に立っている。近くて遠いStingをみながら、また涙があふれてくるまどじゅ。

Stingが中央の椅子にすわり、おしゃべりがはじまる。こんな感じかな。「10年ぶりに新曲を披露するけど、これはミュージカルの為に書いた曲なんだ。今日はミュージカルは観れないけど、ミュージカルの主役がいるからね、雰囲気だけでもあじわって。」「僕が生まれ育った町は造船業が盛んで、道の終わりの海には大きな船が空にそびえたってて、とてもシュールな光景をつくってた。毎朝たくさんの男たちが造船所にくりだしていた。このミュージカルは、そんな僕の子供時代の光景を歌にしたものなんだ。」そしてShipyardがはじまります。Jimmy Nailが語るように歌いはじめます。それにつづきStingも。いつものコンサートより、Stingはジェスチャーもおおきく、声もどすをきかせて、まるで演技しているように歌います。彼がミュージカルにでればいいのにと思うほど、とてもきまってます。

「ミュージカルの中にはラブストーリーもある。主役はギデオンという男」。次の日のショーの中の会話とまざってしまっているところもあるけど、話している内容は大体同じ。ただ、もっとおぼえていられればよかったのだけど、はっきりいって、話は聞いていなかった。まどじゅは、さっきまでおこっていた出来事を整理しようとしながら、目の前の光景をすべて焼き付けようとしつつ、涙がとまらなくて、その三つの動作で五感が一杯で、彼の話に集中することができませんでした。みなさんごめんなさい。

歌はAnd Yet、August Windsと続きます。「造船業はだんだん衰えてきて、神父さんがみんなを元気づけようとする話なんだ。他に何ができるんだと、ね。」そしてDavid Lettermanの中でも披露したWhat We Gotがながれ、またお祭りさわぎ。Stingはハイスツールに座っているときは木の小箱の上に足をのせている。ギターなしで歌っているときは、手持ちぶさたそうに、両手で自分の太ももをずっとさすってます。立って歌ってるときは片足を木の小箱の上にのせてます。わらうぃがーでは片足をキックするところがかわいかった。

「次の曲は、僕の年代のアーサーという男が、自分よりずっと年下の女性に恋してしまう歌なんだけど、よくある話だよね。」そしてPractical Arrangement。アルバムの中にはない、Joeがうたう、女性側の気持ちの箇所が間にはいります。とてもうつくしいですが、悲しすぎて両想いになるのかどうかは疑問。「ある日関係者から、Practical Arrangementはミュージカルの中では使えないといわれた。アーサーは僕の年代の男で僕の分身といってもいいくらいなのに、『なんで』と僕が聞くと『だって、この歌の中のアーサーの言い方じゃあ、どう考えたって失恋だよ。これじゃあ女は若くてバイタリティーにあふれたライバルのギデオンになびいちゃうよ。』だって。心外だったね。」

ミュージカルの物語、または作っている過程での興味深い話を交えながら、ショーはつづきます。Skyhooksの中で、Stingはスプーンを二つ重ねたものを自分の腿とその上にかざした手のひらの間に、カスタネットのようにカチカチとうちつけてました

このあと、15分の休憩がはいりました。結構な歌をうたったのだけど、まだ半分あるの?Santi君とロビーにでてまたワインを一杯。もう飲みすぎだから。

アルバムの歌だけかと思ったら、When We Danceが途中ではいります。これもミュージカルで使われるのかしら。でもアーサーとギデオンとシングルマザーの三角関係にはぴったりのうたですね。この歌でだれかにプロポーズされたらその気がなくてもイエスって言っちゃいそうです。

ショーの中には、アルバムに入っていない曲もいくつかありました。ただ、アルバムの中でうたわなかった曲はほとんどなかったと思います。Jock The Singing Welderもその一つ。「造船所で働く男たちのヘルメットにエコー音効果があって、歌うとすごくうまく歌えてきもちいいから、ここで働く男たちはみんな歌うのが大好きだったんだ。」と、とてもSexyにうたうSting。これを私の目の前でやられるんですから、まどじゅはたまったもんじゃありません。

まだミュージカルをみてもいないのに、どの歌もミュージカルの中で、造船所で働く男たちがみんなでうたう光景が、まじまじと浮かんできます。荒々しい仕事の歌、美しい愛の歌、悲しい命の歌。私みたいな日本で生まれ育った人間も、なぜか50年前のニューカッスル郊外の小さな造船町に思いをはせて、ノスタルジックな気持ちになってしまうのがStingマジックです。

GhostStoryが途中に入りました。いつ聞いてもうつくしい歌。ドレミファソソソ。

楽しい時間はあっという間にすぎていきます。「ショーが終わる前に、もう一曲。その前にもう一つみんなに話を聞かせよう。Lettermanショーを見た人には繰り返しかもしれないけど」と断って、「僕の育った町にはセレブなんて現れないんだけど、新しい船が完成するたびにロイヤルファミリーが招かれるんだ。ある日母親が僕にいっちょうらの服をきせてメインストリートに連れて行った。ロールスロイスがやってきて、中にはクイーンが乗っている。僕も大勢にならって、小さな英国旗をパタパタ振っていると、クイーンが僕をみて微笑んだんだ。たくさんの人ごみの中、僕を選んで僕を見て、ほほ笑んだんだよ。その時思ったんだ。僕はここにいたくない。造船所でだって働きたくないし、この道に立ってもいたくない。僕はあの車の中にいたいんだ、ってね。それで今の僕があるんだよ。」あっぱれスティング!最後にもういちどLast Shipがながれて、お別れ。っとおもったらアンコールにAll This Time。この歌が入るのは納得。みんな大合唱です。ディナーの時にもらったHappy Birthday Stingと書いてある黄色い大きなバナーを、約束通りここでStingに向かってみんなでかかげました。Stingは歌いながらいつものようにまゆ毛をつりあげて、おおきく目を見開いて、そのバナーに一瞥をくれてました。




終わった途端みんなのため息が聞こえる。ロビーにでてみんなでがやがや。なつかしい面々、新しく会った面々。そこである人から「あなた、ヒュージャックマンとは話した?」と聞かれ、「え、来てたの?」「うん、あなたの後ろに座ってたわよ」ひょえー、まったく気がつかなかった、だれか早く言ってくれ、大好きなのに!!ってゆうか知ってたら多分コンサート中に首が大変だったから、知らなくてよかったとも言える。それにStingおさわり体験をした世紀の大事な日に、そんなにたくさんセレブと会ったらStingの思い出がうすれちゃうところだった。あーん、せめて後ろにのけぞっておけばよかったー、あーん。でもヒューはすごく真剣な顔でショーをみていたらしい。さてはーミュージカルの主役狙ってんじゃないか???そしたらまどじゅもう鼻血ぶー。

このあとSueちゃん、Luuk、Andy、Santiくんと私で、シアターのお向かいにあるあやしげなバーにはいり、外の様子をみながら一杯。今日の感想を話ながら、明日はどうなるんだろーねーと話す。Santi君以外のみんなは明日のStingのバースデーショーのチケットを持っている。どうやってSanti君も入れてもらうかみんなで作戦を練った。場所をかえて、2本ボトルのシャンペンを注文し、いい気分。途中でSueちゃんがWest Villageにあるお店に知り合いがいるので行こうということになり、また場所を変えたのでした。

10月2日 Public Theater Birthday Concert

翌朝、あたまがんがんで極度の二日酔い。そのあとはまるで覚えてない。昨日だけでいったいどのくらい飲んだのか。昨夜シアターでもらったおみやげ ― サイン入りCDとサイン入りパンフレットをなくさないのに必死だったことだけおぼえていて、そのあとどうやって自分のホテルの部屋までたどりついたのかわからない。とりあえずお風呂にお湯をはり、すべてのアルコールを体から出すつもりで湯船につかる。でもまた寝込んじゃって、おぼれそうになって起きた。あ、もうNY在住のYちゃんとランチをする時間だ!!

とりあえずきもちわるいまま着替えてYちゃんとホテルのそばでランチしました。そのあと二人でチェルシーマーケットをぶらぶらしたあと、ユニオンスクエアでお茶をして、Yちゃんとはそこでバイバイ。Santi君と待ち合わせしているMadison Squareへ。SantiくんはMadison Parkで地べたにねっ転がって昼寝してて、背中がどろだらけ。このいでだちでプレミアムチケットをもらおうとしている。また性懲りもなくワインをのんでから、Public Theaterへ。

近くのBarでSueちゃんとAndyが飲んでるというので、そこへ行こうとしてたけど、私は先に今日のチケットをもらっておきたかったので一人でPublic Theaterへ。すみっこの方に、WendyとdDaveが結婚式のレセプションのお手伝いさんの様に机の後ろに座ってます。チケットの入った封筒をうけとるとWendyが、「あのね、ショーの時間が30分早まったの、だからまちがえないでね。」だって。ひぇー先にチケットもらいにきてよかったー。こんなこと許されるのかしら?遅れちゃう人いるかもしれないじゃん。急いでSanti君に「すぐ来い」とテキストメッセージを送る。Barで飲んでたみんな登場。Santi君はだめもとでWendyとDaveに、「エキストラチケットあまってない?」すると「あなたラッキーね、最後の1枚よ」、封筒を手渡した。わーい!!!!と周りを刺激しないように小さな声で大きく喜ぶ。Sting.comのみんなの投稿によると、今日のチケットに当選してなくて、だめもとで来てた人たちはほとんど入れたみたい。そうだよね、だってみんなこの日の前後の高いチケット買って、私のようにはるばる遠くからきているんだもの。この世紀の瞬間逃したら死んじゃう。

中にはいって自分の席を探す。あ、あれ?もしかしてまた最前列???今日はJimmy Nail側の再度サイドの最前列。Jimmyちゃんがいるところからは2メートルもはなれてない。そしてStingまでは5メートルくらい。昨日よりはちょっと遠いけど、それでも死にそうな席。どうもありがとー!!!最前列真正面はWendyとDaveの横にSueちゃんとAndyが。私と反対側の横真正面にはHeatherちゃんとCobyが!Santi君ははるか上の方。私の後ろにも懐かしい面々がたくさん。みんな来れてよかったね。私の右隣にはシカゴから来てる美しいお姉さん、左側の人はヌヌと名乗ったポーランドからのお兄さん。余談になりますが、私の大好きな有楽町にある坂内という喜多方ラーメンやさんには、”ぬぬ”と”ぴょん”というベテランのお給仕さんがいますが、その人たちとは無関係。あとからわかったことですが、お兄さんの本当の名前はNunoでした。

昨日のコンサートの時の発表で、今日のショーは近いうちにPBSというアメリカのチャンネルで放映されることがきまったそうで、TVカメラが見えるところだけでも四方に4台入ってる。この狭いシアターでどうやってとるんだって感じだけど、私たちの前にも大きなカメラが立ちはだかって、Stingと私の間に立ちはだかったらどうしてくれようと思いました。でもTVでこの日の思い出が残ることはとてもよろこばしいこと。日本での放映はわからないけど、きっと優しいアメリカのファンが映像をわけてくれることでしょう。

そしてショーが始まる。今日のStingはグレーのこれまたよれよれのTシャツにグレーのジーンズ。今日はファンだけなので、昨日と比べて歓声もすごければStingの楽しそうな顔もすごい。Nunoは体を前にのりだして、大きな瞳ですごく真剣な顔でStingを凝視してます。Stingは歌っている最中にJimmyをちらちらしょっちゅう見るのですが、まるで私がみられているみたいでどきどきしました。半分演技入ってますし、男を見る目でみてるからこちとら余計どきどきです。

セットリストも昨日とかわらず、Stingのお話もほぼ一緒で昨日なので、昨日とちがったところだけをお話しします。

Shipyardを歌ってる途中で、Stingが黒いニット帽にメガネをかけてうたいはじめました。とてもかわいいです。何年たってもメガネのStingは大好き。

前の日はやらなかったけど、Sky Hooksをうたっているとき、Stingが突然甲高い女性の声を真似て、Jimmyちゃんが一瞬ふきだした時がありました。

途中の15分休憩で、日本語で声をかけられたと思ったらI様でした。私と一緒に今回のバースデーショーに当選した、唯一の日本人。でもおかわいそうなことに、30分早く始まるのをご存じなくて、会場入りした時にはすでに遅く、しかも途中入場ができなかったので、この休憩時間まで入れなかったそうです。でもそのかわり、オリジナルよりいい席をもらえたそう。

Jock The Singing Welderの時の腰ふりは、昨日よりもっと激しく。両手を頭のうしろにまわし、腰を振りながらセクシーに歌うStingで女性を悩殺。私ももちろんノックアウト。この年でこんなに女性をノックアウトできる男がほかにいるのか。すごい黄色い歓声です。

今日は本当にファンしかいないので、Stingは昨日よりずっとずっとくだけてておちゃめでした。 最後の方でファンからHappy Birthdayの合唱がはじまるそうになると「やめてくれ、I f&$#in hate this song!」と言ったけど、私たちファンも歌わずに帰るわけにはいかず、最後の最後には歌わせてくれました。そしてアンコールのAll This Timeが終わると、Trudyが舞台へ入ってきて、Stingとキスをして、あたまをなでてあげてました。みんなもおおよろこび。

ショーのあとは、昨日の面子プラスすごく大勢のファンでWendyとDaveまで一緒になって近くのB-Barへ。WendyとDaveはすぐにかえっちゃったけど、20人くらいでテーブルを囲み、みんなで楽しい時を過ごしました。このあと、私はホテルにもどって、パッキングをし、早朝のフライトでNYをおさらばするのですが、次の日のエンタメサイトを見てみると、なんとStingたちご一行は私の泊まっていたホテルの隣のBarで、深夜にお誕生日パーティーをしていたのでした。ぐやぢー。

今回、今までで一番思い出に残るコンサートになりました。 ミュージカルの中でStingの歌がどのように生きるのか、観てみるのが楽しみです。2014年6月にまずシカゴで公開し、好評ならばそのあとニューヨークでやるそうです。本当にStingもでればいいのにね。