なごさんのロンドン&ニューカッスルリポート

2010年10月、ロンドンとニューカッスルでスティングのコンサート をご覧になったなごさんのライブ・リポートです。

ん? オーケストラをバックにヒット曲を歌う? 「Symphonicities」が発表になったときは、正直どうなの?って思っていました。もうオリジナルアルバムは出さないのかしら。でも、ツアーがあるなら行きたいなっ、て。前回の冬のアルバム「A Winter’s Night」のライブを見られなかったことをかなり残念に思っていたのです。
ツアーの日程が発表になると、10月1日がロンドン。うーん、翌日のお誕生日の追加公演が予想されて、やっぱり行くならロンドンね、と再訪を企てました。結局ロンドン公演2日分、そしてスティングの故郷を訪ねてみようとニューカッスル公演の分までチケットを購入。さあ、どうする、私? 仕事は休めるのか、家族をどう説得するか……などなど問題山積で、せっかくチケットを購入したというのに、しばらく鬱々した日を過ごし、1つ1つ問題クリアして、ようやく決意が固まったのでありました。



9月30日  3度めのロンドン!

懸念していたとおり、出発前夜、帰宅したのは午前1時近く。冗談めかして話していた「徹夜で出発かも…」が現実に。成田へ向かう電車のなかで、あちこちにメールしながら、時折気を失うように眠っては、ゴツッと窓におでこをぶち当てて目を覚ますの繰り返し。雨模様とも相まって、ちょっとどんよりとした出発になっちゃいました。

機内では、映画「Farewell」に感動。思わず涙がこぼれる。適度に眠り、しっかり食べて、元気にヒースロー着。Hello again, London!!  私にとっては3度目のロンドン。思いっきり楽しむぞー!
ホテルにチェックイン後、荷解きもそこそこに、まずは明日スティングとの再会の地になるはずのRoyal Albert Hallへ。「いつかRAHでスティングを聴く」という夢がもうすぐかなうと思うと、いてもたっても居られない気持ちだったのです。
その途上、RAHの下見をしてきたという I さんとばったり。思わず 「あっ!」 と大きな声を出してしまったのは私。「以前何度かキークラブで……」とご挨拶。「あらあ、おぼえているわよ」 と I さま。「明日スティングは 15:30 ごろ Door1 より楽屋入りらしいわよ」 と教えてくださる。その前に shigeyo さんとうまく会えるといいのだけどと思いつつ、ライトアップされた RAH にうっとり。さすがに疲れていたので、下見はそんなところで終了し、ホテルへ戻って簡単な食事の後、シャワーも浴びずに就寝。



10月1日  ロンドン公演1日目  Sting.comのメンバーにチケットを買ってもらう

7時起床。私にはありえない早起き。後から思えば、時差ボケだったのでしょう。シャワーを浴びてすっきりしてから、shigeyoさんにメール。昨夜深夜に到着かしらと思いきや、「つい先ほど到着して入国審査待ち」との返信。うーん、ライブ当日到着かあ。さすが!と妙に納得いたしました(笑)。で、とりあえず朝食。レストランでまたまた I さんとお友達にばったり。同じホテルだったんですねぇ。

ホテルの最寄駅(=RAHの最寄駅)で shigeyo さんと待ち合わせ。いや〜、なんだかふつうに「いよっ」て挨拶したけれど、本当に久しぶりだし、しかもここはロンドンよ。この奇妙な感覚、何度味わってもいいもんです。

さて。
ロンドンでライブのあった2日間は、Shigeyoさんとほぼ一緒に行動していたので、入り待ちやライブ、ファンクラブのビデオ撮影などの詳細はshigeyoさんの追っかけ日記をご覧いただくとして(笑)。今回、私のロンドン追っかけの重要な課題の1つは、発売時のトラブルにあたふたして1枚余分に買ってしまったチケットを引き取っていただくことでした。Sting.comで「チケットあります!」って書き込みに反応してくれたスコットランド在住のNさん。数度のメールのやりとりの後、RAH1日目に会うことに。うまく会えるか心配でしたが、チケットボックスに小走りで向かう途中、「ん、デジャブ?」と目に入ったのが、事前に送ってもらっていた写真そのままに同じ服装、同じ笑顔のNさん夫妻。「これでわからないはずはないでしょう」と言わんばかりの心配りだったのでしょうか、おかげさまで無事にチケットを買っていただくことができました。Nさんが後にSting.comにメッセージを書き込んでくれましたが、私の英語力の乏しさ故、十分なコミュニケーションができなかったことが心残りです(ちなみにNさんは、エジンバラのライブで大暴れした様子。Sting.comでかなりハイテンションな書き込みを繰り広げていました)。

ロンドン公演初日はアリーナ8列目、ほぼセンターの席でした。憧れのRAHで、久しぶりのライブを堪能しました。オーケストラと一緒ということで、みんなお行儀よく座っていたけれど、指揮者の人もオーケストラの面々も踊る、踊る。楽しい演出満載でした。
会場内での撮影は厳しく規制されているようでしたが、実際にはみんな撮り放題。私もさんざんトライしましたが、なかなかうまく撮れません。休憩時間、ステージ上でスティングの楽器の調整をするダニーさんをモデルに練習して(笑)後半戦に臨んだところ、ちょっといい感じの写真がとれて嬉しかったです。



ツアーが始まったころはクラシックな印象の装いだったスティングも、ロンドンではピタピタジーンズに身を包み、前半はおっていたジャケットはいつの間にか脱ぎ捨てられて、セクスィーなシャツ姿に。ボタンをはずされたお袖は、ヒラヒラと優雅に宙を舞っておりました。
ダンスあり、ステージ上での着替えあり、みんな大好き Desert Rose ありの後半&アンコールまでたっぷりと楽しみ尽くして1日目終了。コーフン冷めやらぬまま、あれほど焦がれた RAH の内部を見回していると、頭上から「なごさーん」と大声で呼ばれてびっくり(笑)。shigeyo さんと明日の約束をして、ホテルまで歩いて10数分の道のりを、デザーローズィエイイエイェ〜♪と腰をふりふり、夢見心地で帰りました。



10月2日(日)  ロンドン公演2日め  Happy Birthday, Sting!!

日曜日の朝。ホテルでサッカーの解説番組をじっくり見ながら、おでかけの準備。shigeyo さんとランチの約束をしていたので、前日の食べ過ぎの反省もあり、朝食抜きで出かける。今回の旅行後半のホテルを決めるべく、グロスターロード近辺を散策。午後から荒れ模様との予報にもかかわらず、午前中は好天。なぜか観光客に何度も道を尋ねられたりしながら(ちょっと嬉しい)、事前にチェックしていたホテル2軒の周辺をうろうろ。いずれも駅からほど近いプチホテルで、おいしそうなお店が点在する雰囲気に魅かれつつも、結局は過去2回宿泊したRAH界隈の、でも、まだ泊まったことのないもう1つの候補に決定!(後にネットで予約しました)。

前日と同じ地下鉄の駅で shigeyo さんと待ち合わせ。結局ランチを食べすぎた後、ファンクラブのビデオ撮影のため、RAH へ。Sting.comでおなじみの顔がいっぱい集まっていました。ビデオ撮影を控えて緊張していたであろう shigeyo さんの付き添いとしてリラーックスしていた私は、ポールさんと挨拶したり、リディアさんとホニャラライタリア語会話を交わしたり、そぼ降る雨のなかファンのみなさんとの交流を楽しみました。こんな体験ができたのも、長年のファンクラブ会員 shigeyo さんのおかげでーす。それにしても shigeyo さん、サイコーの笑顔でしたね。


shigeyoさんの撮影終了〜。


本日は待望のバースデーコンサート。一度ホテルへ戻り、日本であれこれ迷いながら用意してきた黒っぽい服装に身を包み、いざRAHへ。本当は革靴も用意してきていたのだけれど、前日もこの日も激しい雨のため、悩んだ挙句、結局スニーカーで出かけました。とほほ。さらに悲しいことに、この大切な夜、私はカメラを忘れてしまったのです。いえ、正確には、充電のために取り出した電池をホテルに置き忘れてしまったんです(つまり、電池の入っていないカメラを持ってきたってわけ)。入場直前、チケットを取り出そうとして気づいたときは、本当に泣きそうでした。ホテルに戻る時間はありません。自分の目でしっかり見ろっていうことね、と思うことにしました。

そう、この日のチケットはアリーナ3列目。ステージはすぐそこ。隣は赤いトサカでおなじみのFちゃん、その向こうは昨日のお隣さん、さらにその隣はポール。その前にアンディ。うーん、ファンクラブ席だあと実感。Fちゃんたちは、ギターやベースの形をした風船をいくつもふくらませて、周りの人たちに配っていました。みんなそれぞれに「おめでとう」と伝えたいって気持ちが伝わってきます。そして会場中が、何かサプライズが起こるのではないかというワクワク感に包まれているように感じました。

「It’s my birthday」――スティングの登場に拍手と歓声が湧き上がる。前半最後の Next to You で、アリーナ前方は総立ち。風船ギターを抱えて踊る隣人にぶつかりながら、微笑をかわしつつ、私も歌い踊りましたよ。ライブはこうでなくっちゃ!
後半も大いに盛り上がり、あっという間に終盤を迎える。アンコールに応えて She's Too Good For Me の前奏が始まり、ちょっぴり腰を落としながら大きく手拍子をしながらステージにスティングが戻ってきたところで頭上から大量の風船、風船、風船!!! オーケストラの演奏でハッピーバースディの大合唱。客席の後方からステージに向かって押し寄せる風船を、私もステージに向けてひたすらアタックしまくり。おしゃれも台無し、汗だくです。それでね、風船攻撃に苦笑いするスティングは、とってもかわいかったんですよ。

終演後、赤い風船を1つ記念に持ち帰る。shigeyo さんが時間をかけて丁寧に空気を抜いてくれました。shigeyoさん、今回も本当にありがとうございました。土砂降りでびしょびしょで震えちゃったけど、心は湯気を立てそうなくらいホット。RAH、必ずまた来るから。ちゃんとそこで待っていてね。



10月3日  雨のロンドンから「A Winter’s Night」なダーラムへ

今回、ニューカッスルにも行こうと決めたとき、ぼんやりとダーラムに立ち寄ることを思い描いていました。2009年に 発表されたアルバム「A Winter’s Night」のお披露目ライブが行われた町。DVDで見ることができた、世界遺産だという大聖堂でのライブの印象は強烈でした。私もその場所に身を置いてみたい。単純な動機ではありましたが、大きく蛇行する川に抱かれるように築かれた小さな町ダーラムを訪ねたのは大正解でした。

今日も今日とて雨降りのロンドンはキングスクロス駅を出発し、電車に揺られること3時間。どこまでも続く草原や、日本では見たことのない細く薄くたなびく雲などを眺めながらの列車の旅を存分に楽しみました。到着間際、突然車窓に大聖堂のてっぺんが! まるで絵本を見ているみたい。小さな、ひそやかな駅。雨上がりの夕方、ひんやりとした空気のなか、タクシー乗り場に並んでいたのは私を入れて3人。最初の1台が行った後、10分以上もたったでしょうか、ようやく2台めのタクシーが到着。が、なんと、先ほどのタクシーと同じ運転手さんではないですか。どうやら駅にやってくるのは、ごく限られたタクシーだけのようでした。

宿泊したホテルは、いくつかの棟からなっているようで、建て増しした温泉旅館のよう。棟と棟の間に段差があって、リフトで上がって、階段で数段降りるという複雑さ。なんとかたどり着いてみれば、窓の外を川が流れる部屋に大満足。19時近いけれどまだ明るい町をしばし探索。レンガの道も建物も、目の前の橋も、人も、ぼんやりもやっている。いい感じ。しばらく滞在してみたい気持ちになりました。



10月4日 ダーラム大聖堂でコーラス鑑賞

この日はぴっかぴかのお天気。まさにラブリーデイ! ホテルの朝食もおいしかった。ここでは、ブラック・プディングなるものを初めていただきました。いやしかし、イングリッシュブレックファーストって絶対食べ過ぎますよね。嬉しいんだけど、苦しいんですよ毎朝(笑)。

ダーラム大聖堂へは、ホテルからそれほど遠くはないのだけど、まずはお約束の町歩き。雨に洗われたような青空、どっさりの緑、水面のキラキラ、川を行きかうレガッタチーム……。大聖堂は高台にあり、町へ向かってなだらかな斜面が広がっている。基本的に細いなだらかな坂道を歩いていくのだけれど、路地の先に何があるのか気になってしょうがない。一人通るのがやっとの路地の奥にすてきなカフェがあったりするからたまりません。 そんなこんなで、世界遺産ダーラム大聖堂に到着。高い天井、最奥に控えるステンドグラスに圧倒されました。事前に調べてあったのですが、この日はヨークの男性合唱団のコンサートがありました。おそらくお身内の方がほとんどと思われますが、少しずつ座席が埋まっていきます。ここでスティングが歌ったのねと感慨深く、私も着席。オールドボーイズの合唱を1時間ほど楽しませていただきました。館内撮影禁止の張り紙があちこちにあったので遠慮していたのですが、コンサート後、合唱団の記念撮影が始まったので、お身内の方々に混ざって私も、雰囲気だけでもと大聖堂内をカメラに収めました。



大聖堂内部をじっくり見て回った後は、すりへった石の階段を上りに上って塔のてっぺんへ。美しい町を一望することができました。前日の夕方からたった24時間の滞在で名残は尽きないものの、明日のライブに参加すべく、さよならダーラム、ニューカッスルへと向かいました。

ダーラムからニューカッスルへは電車で約15分。ダーラムとは比べものにならないほど大きな駅。地下鉄で1駅のホテルへ。たどりついたホテルの部屋の窓からは、タインブリッジが目前。ああ、対岸の橋のたもとにKey Clubがあったのねと、また一人感慨にふけるうち、夜もふけていきました。





10月5日 親密な雰囲気の故郷ライブにうっとり

ニューカッスルに行くのだからスティングゆかりの地を訪ねたい、と思ってはいたものの、出発前に事前の下調べはまったくできませんでした。まずは地下鉄でスティングが生まれた町ウォールズエンドへ。ローマ帝国時代に築かれた城壁の最北端の町だから、この名がついたとか。地下鉄駅から適当に歩いていると、城壁の遺跡が残る場所に立つ博物館に行き当たりました。すぐそばに造船所。付近をうろうろした後に、駅の反対側へ。小さな町。雑貨屋、棺桶屋(いや、葬儀屋?)、スーパーが並ぶハイストリートも、少し歩くと次第に寂しい雰囲気に。スティングもこの通りを牛乳配達したり、難しい顔して歩いたりしたのでしょうか。そんなこんなで再び地下鉄に乗り、タイン川河口の町タインマスへ。ここまできたからには北海を見ようと考えたのです。夏にはビーチリゾートとしてにぎわうという町だけに、しゃれた通りが海まで続いていました。海沿いのタインマス城や修道院跡を目にし、望み通り北海を眺めて大満足の小旅行となりました。

―――帰国後、ダーラムのおまけDVDを見直して驚きました。この日私が訪ねたあちこちを、スティングが紹介しているではありませんか。遺跡のそばでは「(遺跡よりも)僕の生家のほうが大切なのに」って笑っているし、タインマス城脇の道をてくてくと歩いてる。感動しました。残念だったのは、「ここで何人もの女性とデートをした」とスティングが話すベンチのすぐ近くまで行っていたのに、途中で戻ってきてしまったこと。同じベンチに座りたかったなあ。

ニューカッスルに戻ってからも歩きに歩きました。グレイズ・モニュメントを見て、その前でギターを弾くお兄ちゃんの歌を聴いて、サッカースタジアムへも行きました。ニューカッスルの中心部からタイン川へはすっごい急な下り坂。膝が笑いました。
川沿いのパブで早めの夕食をとっていると、あれ? あれってポールさん!? 見ればデイブさんほか数人のファンたちが外の席でビールを飲んでいます。そこに、ロンドンでは見かけなかったスーさんもやってきました。みんな集まってきているんだね〜。でも英語が話せない私、どうしても「Hello!」ってあいさつしに行くことができませんでした。情けないっ(涙)。

この日のライブ会場 Sage Gateshead は、かたつむりのような形状と、鏡張りのような独特の外観のホール。ダーラムのおまけDVDにも登場します。朝も下見に来たのですが、その時も、そして夜になっても、会場の外にはポスターらしきものが見あたりませんでした。
今日はアリーナ5列目のほぼセンター。どうしたわけか、私の前の席は2〜4列目が空席。ラッキーでした。ステージはRAHよりうんと小さい。ぐるりと見回すと、RAH の重厚さとは対照的な印象でした。この日は、地元のオーケストラと共演するスペシャルな夜でもありました。
会場が暗くなり、オーケストラの演奏が始まってスティング登場! と、まだ着席していない男性に向かってひとこと「なにやってんだ。早く席につきなよ」。会場がどっとわきました。その男性は最前列に座りましたから、地元の友人だったのかもしれません。そんな感じで、なんだかとってもラフで親密な雰囲気でライブがスタート。この夜バイオリンソロを担当したのは、とても美しい女性でした。うっとり。ダーラムでのライブ DVD に登場していた Tickell 姉弟も登場。バイオリンを弾く弟くんはダーラムでもとっても楽しい演奏を披露していましたが、この日もよかった。This Cowboy song のラインダンスにも2人が参加。本当に楽しいライブでした。それだけに終わりはまた寂しくって、早く日本にも来てね、と願わずにはいられませんでした。

 
 


翌朝、ホテルでの朝食時、昨夜私の隣の席に座っていたマダムがいらしたので、思い切って声をかけてみました。すると「昨夜ホテルに戻ったのは午前1時だったの。出待ちをしていたらスティングが現れて、big kisses をもらっちゃったわ」だって。うわ〜っ!!!! ロンドン公演にも参加したという彼女、「今日パリに帰るの」と席を後にしたのでした。ホテルでゲットした新聞に、昨夜のライブの記事が載っていました。ちょっぴり皮肉混じりの記事のようでしたが、多くのファンがスティングを支持していることは否定できないんじゃないかしらと心のなかでツッコミ入れときました。

 


ニューカッスルでのライブの翌日、ロンドンに戻ったその夜にクリス・ボッティのライブに行ったり、ホテルでA-HAのメンバーを目撃したりと話は尽きないのですが……。とにかく、スティングのライブはサイコー! 追っかけサイコーッ!!! 次は、もっと英語を勉強して、世界のあちこちから集まるファンとの交流を図れるようになることを誓って、このリポートを終わりにしたいと思います(こんなに長くなってしまって、すみません)。