なごさんのロンドンリポート

2007年9月、ロンドンでFiction Plane と The Police のコンサート をご覧になったなごさんのライブ・リポートです。

海外でスティングのライブを見る。それは、この「Key Club」詣でをはじめたころからの、私の見果てぬ夢でありました。 とはいうものの、昨年のBroken Music Tourではどうしても決心がつかず、みなさまの体験をうらやましく思うばかり。 ところが、今年しょっぱなからポリス再結成という大きな花火が上がってしまっては、私もヒートアップせずには いられませんでした(時間はかかりましたけど)。行く先はぼんやりと「大好きなイタリア」と決めていたのですが、 Shigeyoさんはじめ多くのみなさんが駆けつけるというロンドンへと心が傾き、傾いたころにはすでに初日分完売という “のろま”ぶり。結局2日目の追加が発表された時点で、ついに「get ticket」をクリックしちゃったのでした。 後日、1日目のチケットもなんとか手に入れて、さて、さて、いざロンドンへ。海外ライブ初心者の旅、はじまりです。


9月6日(木) はじめてのロンドン

台風接近にもかかわらず、定時に成田を出発。私にとっては実に10年ぶりの海外旅行でありました。 NYでのロストラゲッジのために2台目の「きみまろズーム」を購入されたまどじゅさんから、 1台目をありがたく譲り受け、手荷物のなかに充電器ともども忍ばせて搭乗しました。 一人きりでの海外旅行ははじめてだったので、ちょっと緊張気味。これまでは、食事のとき以外はぐっすり 眠れることが自慢だったのに、今回は旅程の半分以上は起きていました。映画「オーシャンズ13」を見ようと思いましたが、 日本語吹き替え版がサイテー。俳優のイメージと声がミスマッチなだけでなく、声優さんたち、驚くほどへたくそなの。 笑える、を通り越して、腹が立ったので途中で見るのをやめました。
そんなこんなで、ほぼ定刻どおり、15:30すぎにロンドン着。先にロンドン入りしているゆきさんにメールを送る。 入国審査に2時間以上(!)。ラッシュ時ゆえ、ロンドン市内への移動に2時間近くかかって、ようやくホテルに到着。 荷物を置いて、ケンジントン・ハイストリートでゆきさんと再会! 「3月のスチュ来日以来ですね〜」。 一気に緊張が解けました。
ゆきさんの案内で、ロイヤルアルバートホールを外から見学。いつかここへも来なくちゃ。 初めてのロンドン、ケンジントンあたりは、通りも家もかわいくて、地図を見ながら想像していたよりも、 こじんまりした感じ。到着早々、すっかりロンドンびいきになりました。


9月7日(金) SOHOのギャラリーで若き日のポリス&100clubでFP、そしてサイレンの夜 

ロンドンでの実質1日目は、ゆきさんと一緒にアンディ・サマーズの写真展へ。 きっとファンでいっぱいよ、と想像していたギャラリーは、意外にもがら〜んとしてました。 小さなスペースだったので、すぐに見終わってしまったけれど、地階と地上階を行ったり来たり、 若くみずみずしい(?)スティングの写真の前で記念写真をとらせていただきました。
ランチの後は、ゆきさんに地下鉄やバスの乗り方などロンドン歩きの基本を教わって、一人で散策開始。 ロンドン・アイからビック・ベン、ウエストミンスター大聖堂、そしてバッキンガム宮殿など見ながら、 ビクトリアステーションまで歩く。見るものすべて「うわっ〜」状態で、きみまろのシャッター押しまくり。 ああ、楽しい。バスで、ビクトリアからトッテナムまで移動して、旅の後半でゆっくり見学しようと 思っている大英博物館の下見(?)もかねて周辺を歩き回り、迷いまくり、「We will rock you」を 上演している劇場を写真に収めて大満足。楽しいじゃない、ロンドン。
さあ、夜は夜のお楽しみが待っている。お出かけ前に、フィッシュ&チップスで腹ごしらえ。 ひんやり白ワインが、う〜ん、んまい! ほんのり酔っ払いに仕上がって、いざ100clubへ。 フロアに降りていくと、おお、Yokoさんが、あっ、この間六本木で会ったばかりのまどじゅさんが!  そして噂のAndyさんにも「コンニチハ」。写真でお見かけしていたよりハンサムな方でした。 まどじゅさんにお酒を買ってもらって(ありがとう!)へらへらしていたら、ジョーくんがふらりとフロアに現れる。 そこでバチっと目が合っちゃたので、「Hi!」と言ってみたはよいものの、そのあと言葉が続かない。 しょうがないから、至近距離でじーっと彼を見つめていたら、彼も目をそらせなくなってしまったようで(苦笑)、 しばしにらめっこ状態。ゆきさんが通りかかってくれて、ふーっ。ゆきさんとジョーくんは昨年のラトビア公演の 話をしていましたね。
サポートバンドの名前はわかりませんが、ジャニーズ系のかわいい子がそろっていましたよ (実は100clubに彼らの名前をメールで問い合わせてみたけど返事なし 笑)。そして、FP登場。 以前、日本で見たライブとはちょっと違う感じがしたのは、やっぱりダンが抜けちゃったことが影響しているのかな。 Two Sistersも素敵だけど、なじみ深いぶんHateにぐっとくる。そうこうしていると、 後ろから私の髪の毛を引っ張る人あり。「や、お疲れさま〜!」――Shigeyoさん到着。間に合ってホントよかったね。 ライブ終了後、「ジョーさん」にサインをもらう人あり、質問攻めにする人あり。いいな〜、これくらいの距離感。



ライブの後は、パエリアとサングリアで乾杯。最後にサービスされた強いお酒で、本格的な酔っ払いになりました。 Shigeyoさん、Yokoさんと別れた後、同じ方向に帰るゆきさん、まどじゅさんと一緒にピカデリーでコーヒー。 お店では本物のポリス2人が談笑中でしたが、店の外でけたたましいサイレンが響き渡ると、 ものすごい勢いで飛び出していった。「え、何?!」と思うまもなく、「ちょっと見てきます」とまどじゅさんも飛び出す。 その後15分もたったでしょうか、「何があったかわかりませんでした〜」と元気に戻ってきてくれたから、 おねえさんたちはほっとして、心からケラケラと笑ったのでした。ホテルに戻ってベッドにもぐりこむまで、 サイレンの音が耳から離れない夜となりました。


9月8日(土) Twickenham 1日目 
二日酔いの朝。いまいち元気が出ないので、午前中はホテルの部屋でゆっくり過ごす。 お昼前に近所で食料を買い込んで、ケンジントンパークへ。アコーディオンなどの生演奏で、 老若男女がフォークダンスを踊るのを芝生に腰を下ろして見学。一緒に踊れたら楽しかったのに。 そんなこんなで、ちょうど時間となりました。Twickenham Stadiumへまいりましょう!
実は私、フットボールやラグビー観戦が大好き。フットボールの聖地Wembley、そしてラグビーの聖地Twickenhamには、 いつか行ってみたいもんだと思っていましたが、まさかポリスを見に来ることになろうとは。 スタジアムが見えてくると、やはり胸が高鳴りました。
この日のチケットはスタンド1階席、前から16列目。もうFPの演奏が始まっているのに、 なかなかGATEが見つけられずに焦る。ようやくたどりついた席は、ステージをほぼ真横から見下ろす感じ。 双眼鏡をのぞくと、あら、けっこう近くにジョーくんが見える。よかった。アリーナ席に目を転じると、 ゆきさんが着席したところ。前から5列目にいるはずのあの人を探すと、おお!まどじゅさんが踊ってました (**証拠写真あり)。 FP終了後、ゆきさんとまどじゅさんは一緒にどこかへ消えていきました。きっとビールかワインを飲むのね。 私の携帯はずっーっと「圏外」だったので誰とも連絡をとれず。通路から遠かったこともあり、 自分の席で一人じっとポリスの登場を待ちました。だから、結構ちゃんとMaximo Parkも見たのよ、私。 彼らはニューキャッスル出身のバンドだそうですね。「真っ赤なシャツがお似合いよ」「早く終わらないかな」 「おおthe last songって言ったわね」などと思いながら、ポリスの登場をひたすら待ったこの時間、 今回ロンドンで一番の寒さを経験。あんまり寒かったので、スタンド席にわきあがったウエーブにも奮って 参加させていただきました。



そして、そして。あたりも暗くなったころ、いよいよポリスがステージに。スチュのたたく銅鑼が響いたときは、 心臓止まるかと思いました。スティングの第一声とともに、いきなりの大合唱。すごかった〜。周囲は仲良しの カップルばかり。お気に入りの歌では抱き合って踊ってる。いいな〜。私は一人で踊った、歌った。 そして大好きなMagic! アンディのソロから始まってスチュのドラムが入るところ、すごくよかった。 スティングが歌いはじめると、これまで以上の大合唱に。ときどき私のことをものめずらしそうに(?) 見ていた前の席の女性が振り向いて、にっこり笑って手を振ってくれる。私も思いっきりほほえみ返しましたよ。 ああ、本当にいい気持ち。ポリスの3人は、一緒に演奏することが楽しくてしかたがないようにみえました。 それぞれのソロ演奏もすばらしかった。いつまでも好きなだけ、仲よく演奏してくれていいのよって思った。 「イヨ〜、イエー、イエーヨー」を思いっきり大声で歌ちゃったよ。こんな日が来るなんて。 「ロン、ロン、ロン、ロン・・・」も、もっと歌いたかったな。ふふ、ぜいたくな感想ですね。 そんなこんなで、大興奮のうちに1日目は終了。人ごみを押し分け、スタジアム正面の金色のライオンの下でゆきさん、 まどじゅさんと合流。まどじゅさんとは今日でお別れ。「帰りにごはんしていこうか」と話していたのに、 疲れきった私たち、結局夕食は省略。ベッドに入ってもなかなか寝つけず、「イヨ〜イエ〜」がこだまする夜となりました。


9月9日(日) Twickenahm 2日目

ロンドンは連日よいお天気。Victoria&Albert美術館を目指して、またお散歩だ。 足の向くまま気の向くまま歩きまわるので、美術館で過ごせる時間が圧縮されちゃう。 1階から順番に見たいところだけど、現代デザインに的をしぼって駆け足で見て回る。 「また必ず来るから」と自分を納得させて、ホテルにいったん戻り、よし、ポリスだ! 2日目は、ステージ正面ブロック、前から15列目。チケットを受け取って指定された席に行ってみると、 スティングのマイクが真正面に見える。チケット受け取りに時間がかかったので、またFPは途中からになっちゃった。 ごめんね。FP終了後、Shigeyoさん、Yokoさん、そしてゆきさんと、今度は無事合流できました。
そして、昨日はかなわなかったFPのサイン会に参加。サインに握手、そのうえ一緒に記念写真。 ジョーくんはもちろん、セトンもピーターもとっても感じのよい人たち。私たちみんな、もうニコニコ。 列に並んでいるとき、「あなたたち100clubに来てたわね」と女の人に話しかけられました。 私たちがライブを見に日本から来たって知った彼女、しばし沈黙の後「ゥワオッ」だって。 「ウエンブリーにも行くの?」と聞かれ、みんなちょっとうつむき加減に「No〜」って答えましたっけ。 ここでは伝説の(?)ポールさんにも会うことができました。噂どおり、でっかい人でしたが、 あとですれ違ったとき、にやりと笑って挨拶してくれた。いい人だ〜。
ロンドン2日目のポリスは、うんと近くで、そして真正面から見ることができ、 前日より印象深いステージになりました。スティングは少しセーブ気味に歌うところがあったかな。 前日の座席からはスティックしか見えなかったスチュも、そしてアンディも、年齢を感じさせないキラキラぶり。 あっという間に時間がたち、最後はいつものように「終わらないで〜」と泣きたくなるのでした。




ライブ終了後、ふと見るとShigeyoさんの手に分厚い『マーガレット』が。「踏み台にしたのよん」って、 用意周到ね。私も次は見習おう。4人でシャトルバスの2階席に乗り込んで、 一生忘れることがないであろうTwickenham を後にしました。明日帰国のゆきさんと、 ホテルのバーでしんみりお疲れさまパーティー。迷子になってばかりの私を何度も救ってくださったゆきさん、 本当にお世話になりました。


9月10日(月) ミイラがいっぱい

ライブ終了後の帰国までの2日間は完全にフリー。この日は、すでに下見をすませた大英博物館へ。 ロゼッタストーンを皮切りに、エジプトコーナーを見て回りました。ツタンカーメンと同じく仮面をかぶったミイラ、 ピンクのミイラ、包帯に直接顔が描かれたミイラ・・・ミイラ、ミイラ、ミイラのオンパレード。 あまりにもたくさんの死体に向き合ったからでしょうか、エジプトコーナーが終わるころには、 少し生気が吸い取られたような気がしました。最後に美しいパルテノン神殿の生命力あふれる彫刻群を ゆっくり見てエネルギーを取り戻しました。その後は、オックスフォードストリート周辺を、例のごとく、 あてもなくぐるぐると歩き周り、途中お店に入ってみたり、お茶を飲んだり、迷子になったり。 安上がりですね、私の旅行。
今回、お気に入りのスポットとなったのが、ホテル近くの「Whole Foods Market」というオーガニックショップ。 6月にできたばかりだそうですが、見たことない野菜や果物、美しい商品陳列など、 とにかく楽しい場所で、滞在中毎日通いつめました。この日は、数種類のカレーをテイクアウト。 ホテルに戻ると再度出かける気力もわかず、バタンキューの夜でした。


9月11日(火) 古都カンタベリーでやっぱり迷子に 

フリー最終日は、ビクトリア駅から列車に乗って、イギリス国教会の総本山カンタベリー大聖堂に行ってみました。 9・11のこの日、途中「黙祷をささげましょう」とアナウンスが。観光客たちのざわめきがいっせいに静まった教会で、 あのむごい事件、そしてトスカーナライブのスティングの涙を思い出していました。
教会でほとんどの時間を費やした後、インフォメーションで帰りの列車の時刻を確かめて、 残り時間はお約束の町歩き。目的を定めないから、今回も当然のごとく迷子に。それもいい思い出ね。 カンタベリーは城壁に囲まれた小さな町でしたが、城壁の中に入るとき、そして外に出るときが、 とてもわかりにくかったです。そこに駅が見えているのに、目の前のものすごく交通量の多い道路をどうやって 渡ったらよいのか・・・。「渡ればいいのよ。ただし、よ〜く気をつけてね」ってアドバイスしてくれたお嬢さん、 ありがとう。でも、やっぱりこわくて渡れなかったよ。うんと遠回りをして信号をみつけて渡ったら、 今度は駅が視界から消えちゃったので、またまた「Excuse me・・・」。 「生まれてからずっとカンタベリーに住んでいるんだよ」って語るおじいさんの案内で、よ うやうく駅にたどりつき、夜のロンドンに戻ることができました。


9月12日(水) さよならロンドン、また来るね 

あっという間に帰国の日。飛行機は夜7時半発の便。荷物をフロントに預けて、留守番してくれた家族への おみやげを買いに出かける。ハロッズにもリバティにも行っていなかったので、どちらにしようかな〜と リバティを選んだのが失敗。到着すると、入り口封鎖状態。ガードの人が「ボンッ」と言って両手を広げる ジェスチャーをしながら、詰め掛けたお客さんに説明していたので、爆破予告でもあったのかと心配になったけれど、 どうやら館内のシステムがダウンしたらしい。しょうがないので、リバティも次回のお楽しみリスト入り。 なんとか買い物を終えて、最後の最後にラッセル・スクエアのディケンズ博物館に立ち寄り、予定時間ぎりぎりに ホテルに戻る。予約していた乗り合いバスで空港へ向かうも、またまた「今晩はサッカーとラグビーの試合があるから、 帰りを急ぐ車で大渋滞さ」(運転手談)に巻き込まれる。今度来るときは、ぜひスポーツ観戦も予定に入れたいものです。

というわけで、私の初の海外公演遠征は大満足のうちに無事終了。“ドジで、のろまで、まぬけ”を地でいく私に、 昔は考えてみもしなかった海外行きの道を開いてくれたShigeyoさんはじめ、“スティングおばか”なKey Clubのみなさまに、 心から感謝いたします。チャンスがあれば、また追っかけするぞと、ロンドンの空の下で強く強く誓った私でありました (ので、みなさま、またよろしくね。長々と失礼しました)。

PS 新兵器「きみまろズーム」を手に入れて、どんなステキな写真がとれることかと期待に胸ふくらませた私でしたが、 肝心の腕がないので、すばらしい作品を物にすることができませんでした。これも次回の課題ってことで、 練習に励みたいと思います。

** まどじゅちゃんを探せ!